制約あるクラウド環境でも、大規模災害に備えた事業継続体制を実現

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アウトソーシングサービス
ご相談時の状況とご要望
クライアントは、南海トラフ地震のような大規模災害が発生した場合にも、既存のシステム環境を止めることなく継続利用できる体制の構築を急務と捉えていた。業務停止は企業にとって致命的な経営リスクとなるため、事業継続計画(BCP)の抜本的な強化が強く求められていたのである。
当時のシステムは、西日本エリアのデータセンターに依存しており、バックアップも同一地域内に限定されていた。そのため、大規模災害や広域障害が発生すれば、情報システム全体が停止し、即座に業務継続が困難となるリスクを抱えていた。
このような状況を受け、西日本に集中していたシステムを東日本にも分散し、障害発生時には迅速に切り替え可能な環境を構築したいとの相談が、既存環境の保守を担ってきたアイチームに寄せられた。
planning
企画
現状の課題と要件を明確化するため、まずクライアントへの詳細なヒアリングを実施し、必要な工数や手順を丁寧に洗い出したうえで、全体のスケジュールに落とし込んだ。
本来はAWSやAzureなどの主要クラウドサービスが最適と考えられたが、クライアントは汎用性の低い既存クラウド環境の継続利用を希望。それに応じ、特有の仕様や新たなソフトウェア機能といった未知の技術領域に対して、徹底した調査と事前検証を行い、リスクを最小限に抑えるよう設計を進めた。
また、当初「完全自動化による切り替え」を希望していたが、既存クラウド環境の仕様制約により一部自動化が難しいことが判明。手動切り替えを前提に詳細な手順書を整備し、属人性を排除したオペレーション体制を構築した。
さらに、安定稼働と負荷分散を両立するためロードバランサー(LB)を導入し、単なる冗長化にとどまらず、日常業務の安定性向上にも配慮した構成とした。
result
結果
東日本エリアに西日本と同一のシステム環境を構築し、一部サーバーではリアルタイム同期を実現。大規模災害や広域障害が発生しても業務を継続できる堅ろうな体制を確立した。また、切り替え手順の標準化により、緊急時にも迅速かつ確実な対応が可能となった。
プロジェクトは、要件定義から検証、本番構築までを約4カ月で完了。検証段階ではクラウド事業者の仕様と実際の挙動に差異が生じる場面もあったが、迅速に技術調査を行い代替案を提示した。
クライアントと緊密に協議を重ねながら柔軟に調整を進め、未経験領域においても高い対応力を発揮し、遅延やコスト超過を招くことなく計画通りに導入を実現した。
この取り組みにより、災害時の事業停止や情報資産の消失といった重大リスクを大幅に低減し、「企業としての事業継続性」と「経営の強じん性」を大きく高める結果となった。
アイチームのアピールポイント
アイチームでは、クラウド環境やソフトウェアの仕様に不確実性がある場合でも、以下のような支援が可能です。
- 業務要件を丁寧にくみ取り、運用に最適なシステム構成を提案
- 仕様の不明確な技術領域にも柔軟に対応し、再現性ある仕組みを構築
- 属人性を排除した手順書により、迷わず対応できる体制を整備
- 検討段階から実装までを一貫して支える、伴走型のサポート